
オペラ鑑賞のコツ~予習をしよう~
2018-07-22
こんにちは。
音大ナビ公式ライターの本多都です。
これまで音大ナビの公式アカウントでは、音大生・卒業生の「合格体験記インタビュー」をお届けしてきましたが、今回からは、読者の皆様に音楽をより楽しんでもらうためのコラム記事も掲載していきたいと思います!
(筆者の声楽が専門のため、しばらくはオペラなどが中心となります。ご了承ください。)
今回取り上げるのは、「オペラの予習」。
突然ですが、皆様は誰でも、何かしらの形で「物語」に触れますよね。
本やテレビドラマ、RPGゲーム、そして「舞台」を通して。
そんな時、皆様は「あらすじ」や「登場人物」などを、どのくらい事前に調べてから、物語と対峙しますか?
本の場合、あらすじは帯や、文庫本だと裏表紙に書いてあることが多いですね。登場人物の説明は本編で綴られていますから、当然それを読みますし、わからなくなれば読み返すことができます。
ゲームの場合は、自分のペースでシナリオを読むことができますし、あとでログを見れば、忘れていた会話や出来事などを確認することができます。
テレビドラマは、もしわからないところがあれば、CMの間に公式サイトを確認することができますね。最近では映像という利点を生かし、キャラクターが初めて登場する際は、名前が表示される演出もよく見かけます。他にも、登場人物の心の声がナレーションとして使用されていたりと、事前に下調べをしなくても、ほぼストーリーや登場人物の関係性を把握しやすい構造になっているのではないでしょうか。
では、オペラはどうでしょうか?
舞台という性質上、キャラクターの初登場時に名前を表示する、といったことは、よほどそういう演出プランを取らないかぎり難しいですし、オペラでそのような演出を見ることはほぼありません。
また、鑑賞を中断してストーリーや登場人物を確認するといったこともできないので、もしわからなくなってしまった時は、休憩、もしくは終演するまで、その疑問を持ったまま鑑賞することになります。
さらに、オペラのほとんどはヨーロッパの言語で歌われるため、内容を理解するためには字幕を見なければいけません。
いろいろオペラを鑑賞するうえでの難しい点を書きましたが、でもこれって、字幕の映画を見るのとそんなに違いはないように思いませんか?
ただ、映画の場合は見ている映像にそのまま字幕がつけられているので、字幕とストーリーをほぼ同時に視覚情報として捉えることができます。オペラでは字幕が表示されるモニターが舞台の両サイドに設置されているため、中央のアクティングスペースとやや距離があることが、鑑賞の難易度を上げているのかもしれません。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、筆者は当然「オペラって見ててもよくわからないよね、難しいよねー。」ということが言いたいわけではありません!
ちょっと事前に予習をするだけで、ビックリするくらいストーリーやキャラクターの関係性が頭に入ってくるのです。
1.あらすじを調べる
字幕のついている公演であれば、あらすじを知らなくてもストーリーはなんとなくわかると思います。しかしストーリーを理解することに集中するよりは、オペラ本来の醍醐味である「歌」を楽しむことにぜひ集中してほしいと筆者は考えています。そしてそれは、事前にあらすじを確認しておくだけで、驚くほど簡単にできるようになるのです。
今の時代は、よほどマニアックなオペラでないかぎり、オペラのあらすじはインターネットで検索可能です。「蝶々夫人 あらすじ」とか、「フィガロの結婚 あらすじ」といった具合で、簡単に調べることができます。
面倒くさい...と思われるかもしれませんが、たとえば余裕を持って当日会場に行き、開演時間までの時間つぶしにスマホであらすじを確認する...といった過ごし方などはいかがでしょうか。開演までの時間を、ワクワクしながら過ごせると思います。
また、映画と違って、ほとんどのオペラでは間に休憩が挟まれます。その時間を使って、気になったところを復習したり、次のシーンを確認する、といったことも可能です。
あらすじを調べるとネタバレになる...と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かにそうなのですが、オペラは基本的に、歌手の「歌」に重点を置いているため、結末を知ってしまったら台無し、といった作品はほとんどありません。むしろ、なんてことのないストーリーが、音楽によって深みを増していたり、壮大になっていたり、心が躍るような作品へと生まれ変わっている変化を、お楽しみいただければと思います。
2.登場人物を把握する
我々日本人にとって、カタカナの登場人物というのは、覚えるだけで一苦労です。
しかも登場人物が多いオペラ作品だと、それはもう大変です。字幕に名前が出てきた時、それが誰だったかを思い出すのに手一杯で、気が付けば字幕はどんどん進んでいた...なーんてこともあるかもしれません。
ですのであらすじを調べるとともに、登場人物の名前や関係性、何をしたのか、ということも、なんとなくでいいので覚えておきましょう。これでより、オペラの世界に集中できるようになります。
その際に、キャラクターの声の種類にも目を通しておくと、より分かりやすくなるかもしれません。歌手の一人一人の声の違いは、聞いていてとても面白いですよ。
3.音楽を事前に聞いておく
これは、1や2に比べれば「余裕があれば...」くらいでいい事前準備なのですが、それでもオススメです。
私達は知らず知らずのうちに、CMやテレビ番組などを通じて、実はクラシック音楽に触れています。そうした聞いたことのある音楽というのは、実際コンサートで演奏されると、結構嬉しいものです。
オペラも同じで、いきなりその音楽を聞くよりも、耳なじみの音楽が流れてきた方が、きっとのめり込めると思います。
準備の段階では、時間を割いてその音楽を真剣に聞く、といったことは必要はありません。日々の生活でBGMとして流しておくだけでも、かなりの効果を得られます。
ぜひ、お試しいただければと思います。
いかがでしたか?
やたら準備することが多いじゃないか、と思われるでしょうか?
でも、オペラと条件がやや似ている映画などは、テレビなどでよく宣伝特番が組まれ、出演者があらすじや見どころを解説していますよね。あれを見るのと、そんなに違いはないと思います。
もし気になるオペラがあって、実際に見に行くことが決まった際は、ぜひ試してみてくださいね。