
第2回 どこかで聞いたことのあるオペラ曲特集
2018-08-24
こんにちは。
音大ナビ公式ライターの本多都です。
前回、「第1回 どこかで聞いたことのあるオペラ曲特集」を執筆させていただきましたが、今回はその特集の第二弾となっております!
有名なオペラ曲は、まだまだ存在します。
今回もその中から一部、ご紹介させていただきます。
ヴェルディ作曲
《椿姫》より〈乾杯の歌〉
椿姫は、世界で最も有名なオペラの一つともされているため、名前だけなら聞いたことがある、という人も多いのではないでしょうか。
そしてこの〈乾杯の歌〉、知っている人は絶対に多いと思います。
タイトルだけではピンとこない方は、こちらをどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=UZvgmpiQCcI
ね?知ってましたよね♪
イントロだけで、「あ!知ってる!」となる、そんな曲です。
曲はとっても有名ですが、ストーリーはご存知でしょうか?
一言でいえば、高級娼婦のヴィオレッタと、青年アルフレードとの恋物語です。でも最後は...(ネタバレを回避するため濁しましたが、結末を知っていても全く問題ありません。感動必須の涙腺崩壊オペラです。)
この〈乾杯の歌〉は、慣れない社交界のパーティーに出席したアルフレードが、周りから即興の歌を要求されて歌いだす曲です。その歌にヴィオレッタが返す形で、合唱も加わり、パーティーを盛り上げる華やかな曲となっています。ですがその華やかさの中に、アルフレードとヴィオレッタの恋愛観の違いが盛り込まれている、意外と深い曲なのです。
《椿姫》はこの曲以外にも名曲が多く、ストーリーも分かりやすいため、初めての方にもおすすめのオペラです。(絶対にハッピーエンドがいい、という人はやめておきましょう。)日本での上演頻度も高めなので、もしチラシなどで見かけたら、ぜひ足をお運びいただければと思います。
次はこちら!
オッフェンバック作曲
《天国と地獄》より〈地獄のギャロップ〉
これまではオペラを取り上げてきましたが、ここでご紹介するのはオペレッタの曲です。
オペラは基本的に台詞や踊りが無いのに対し(あるものもあります)、オペレッタはその両方の要素を兼ねそろえています。日本では、喜歌劇(きかげき)・軽歌劇(けいかげき)と呼ばれ、ストーリーは喜劇であることがほとんどです。
さて、《天国と地獄》というタイトルですでに、ピンときた方もいらっしゃるかもしれません。
そうです。運動会で流れるあの曲です!
https://www.youtube.com/watch?v=38lIfgWIg8o
とっても楽しそう!!!
さて、こんなに楽しそうな《天国と地獄》ですが、実はギリシャ悲劇《オルフェオとエウリディーチェ》のパロディなのです。
《オルフェオとエウリディーチェ》は、死んだ妻のエウリディーチェを、オルフェオが地獄に取り戻しに行く、という感動的な夫婦の物語なのですが...このオペレッタでは、夫婦がそもそも愛し合っておらず、妻が死んだ後は、世論を気にして仕方なく妻を取り戻しにいく、という風刺のきいた作品となっています。
それにしても...ストーリー自体には思いのほか運動会要素は皆無でした。テンポが速く、急かされているような感じや、ドタバタしている雰囲気が運動会に合っているため、使用されるようになったのかもしれませんね。
お次はこちら!
プッチーニ作曲
《ジャンニ・スキッキ》より〈私のお父さん〉
この曲もCM等でよく使用されているため、相当有名なのではないでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=IVJrSgt7rGc
どうですか?聞き覚えがありませんか?
人気も高く、私も時々リクエストされるのですが...ソプラノの曲のため、メゾソプラノの私はレパートリーとして練習していないのです。誠に申し訳ございません(泣)。
さて、話をもとに戻しまして...
まず、この《ジャンニ・スキッキ》というオペラ、実はプッチーニが書いた唯一の喜劇なのです。イタリアのフィレンツェを舞台にした、大富豪の遺産を巡る親戚たちの騒動のお話で、今回ご紹介する〈私のお父さん〉は、ヒロインのラウレッタにより歌われます。頑固な父親のジャンニ・スキッキに、恋人との結婚を許してほしい!と訴える内容なのですが...こんなメロディーに乗せてお願いされたら、断れませんよね~。まして父親なら尚更です!
ただ、メロディーが美しいのに対し、歌詞の中には、「この恋が叶わないのなら川に身投げをします!」といったちょっと物騒な部分もあり、ラウレッタがただ可愛いだけの女の子ではないことを感じられる曲でもあります。ふふふ...
最後はこちら!
プッチーニ作曲
《トゥーランドット》より〈誰も寝てはならぬ〉
でました!オペラのタイトルも、この曲名も、相当の知名度を誇る作品なのではないでしょうか。
《トゥーランドット》といえば、私はやはり、トリノオリンピックで金メダルを受賞された荒川静香さんのフリースケーティングプログラムを思い出さずにはいられません。最近では宇野昌磨選手も《トゥーランドット》をフリープログラムで使用し、見事銀メダルを獲得されました。
荒川静香選手
https://www.youtube.com/watch?v=0T0Ufv0k2Fw
宇野昌磨選手
https://www.youtube.com/watch?v=XSaeSc4Eut4
オペラの冒頭部分の音楽から始まり、アリア《誰も寝てはならぬ》で締めくくるといった構成は、お二人とも共通しています。
ちなみに荒川さんの時は、まだフィギュアスケートで歌入りの曲の使用が認められていなかったため、歌の部分が弦楽器でアレンジされたものを使用されています。このアレンジもとっても素敵ですよね。
ではこの《トゥーランドット》、一体どんなストーリーなのでしょうか。
荒川さんや宇野さんのスケーティングを思い出してください。冒頭の音楽はなんだか重苦しく、不気味に感じませんでしたか?
それもそのはず。皇帝の娘であるトゥーランドット姫は絶世の美女ですが、「姫は3つの謎を解いた者を夫として迎えるが、その謎を解けなかった者は斬首の刑にされる。」と語られるところからこのオペラは始まるのです。そんなリスキーな求婚、いったい誰がするのでしょう!
ところがどっこい!!!王子のカラフはトゥーランドットの美しさに魅了され、なんと彼女に求婚するのです!強い!
アリア《誰も寝てはならぬ》は、そんなカラフが歌うテノールの代表曲。トゥーランドットの3つの謎を解き、勝利を確信したカラフによって歌われます。最後の「Vincero!」という歌詞は、「私は勝つのだ!」という意味であり、オリンピックでメダルを狙う選手にとってはまさにピッタリの曲だったのです。
https://www.youtube.com/watch?v=rTFUM4Uh_6Y
(動画のパヴァロッティは涼しい顔をして歌っていますが、正直とっても難しい曲です。もしテノールの方が歌っていらしたら、それはとてもすごいことですので、何卒リスペクトをお願いいたします...!)
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「どこかで聞いたことのあるオペラ曲特集」第二弾、いかがでしたでしょうか?
まだまだご紹介しきれていない曲がありますので、第三弾も執筆予定です。
お楽しみに!