第5回 気軽にオペラシリーズ《愛の妙薬》

2019-01-25

今回は、「気軽にオペラシリーズ」をお届けいたします!

これまでに《コジ・ファン・トゥッテ》、《セビリアの理髪師》をご紹介してきたこのシリーズ...

今回は、ドニゼッティ作曲《愛の妙薬》をご紹介いたします!

妙薬?愛??一体どんなお話なのでしょう...!

ドニゼッティ作曲
《愛の妙薬》

これまでにご紹介した《コジ・ファン・トゥッテ》や《セビリアの理髪師》は、どちらもお屋敷を舞台に物語が展開されていましたが、今回は違います!

なんと、とある「農村」で物語が繰り広げられるのです!

幕が開くと、農夫や娘たちが仕事を休み、一息ついているところから物語がスタートします。

その中には、このオペラのヒロイン、地主の娘のアディーナもいます。

優雅に読書をしているアディーナと、それを見つめる男性が一人...

そう!この人こそ、このオペラの主人公、ネモリーノ君です!

愛の妙薬の伝説

アディーナは読んでいる本の面白さを、農民たちに語り聞かせます。

それは、「トリスタンとイゾルデ」。愛の妙薬=惚れ薬によって、二人が愛を勝ち得る物語でした。

そういえばこのオペラのタイトルも「愛の妙薬」...何か関係がありそうです!

イケイケ軍曹、ベルコーレの登場

そこにベルコーレという軍曹が、兵士の一隊を率いて現れます。

ベルコーレはアディーナを見初めると、いきなり結婚を申し込みます。はや!

様子を伺っていたネモリーノもこれには大慌て!大変です!

アディーナもまんざらではなさそうですが、「結婚を急いでいないの。」とプロポーズを断ります。

しかしベルコーレは全く気にせず、「君は俺から逃げられない!」と歌い続けます。さては話聞かない系だな?

これにはアディーナをはじめ、農民たちも笑うしかありません。

そうです。アディーナはこれまでにも、数々の男性からのアプローチを断ってきたのでした。アディーナを口説くのは簡単ではないのです。

この場面は一旦ここで落ち着き、ベルコーレをはじめとする兵士達は休息を取るため、この場を離れます。農民たちも仕事へ戻るため、この場を去ります。

相手にされないネモリーノ

一人残ったアディーナの前に、ついにネモリーノが登場します!

ネモリーノを見るなり「またいつもの面倒ね!」と軽くあしらうアディーナ。厳しい...

とはいえネモリーノの叔父さんの病気のことを気にしたりと、ところどころにアディーナの優しさを感じる場面でもあります。(ちなみに叔父さんの病気は何気に伏線です。物語後半の展開に大きく関わってきます。)

アディーナが自身の気まぐれな心を風に例えると、ネモリーノはアディーナへの思いを、海へ引き寄せられる小川の流れに例えて返します。なんて文化レベルの高いやり取りなのでしょう...(しかも韻まで踏んでいるのです...!)

その後もネモリーノはアディーナへの想いを伝えますが、いつものようにアディーナは取り合ってくれず、平行線のまま二人は別れます。

ドゥルカマーラの万能薬?

場面は変わり、村の広場へ。なんだかみんなザワついています。

それもそのはず。なんと金色の馬車に乗って、見知らぬ紳士がやってきたのです!

見慣れない衣装や乗り物に、村人たちは興味津々です。

「私は偉大なる医師にして、博識の大博士ドゥルカマーラである!世界をまたにかけ、あらゆる病気を治してきた!」

ドゥルカマーラの饒舌に、村人たちはどんどん引き込まれていきます。そしてドゥルカマーラは告げるのです。

「何にでも効く万病の薬を、たったの1スクードでお売りいたしましょう!」

1スクードは、今の日本円の感覚だと2~3万円ほど。そ、そんなに安いかな?

それでも村人たちは大興奮!こぞって薬を買い求め、嬉しそうに去っていきます。

この場面のドゥルカマーラの音楽は、コメディ要素が満載で、とても聴きごたえがあります。筆者イチオシのシーンの一つです!

惚れ薬を求めて...

さて、一連の出来事を見ていたネモリーノは、これはチャンスだと思い、ドゥルカマーラに話しかけます。「イゾルデの惚れ薬をお持ちではないですか?」

突飛な問いかけに驚いたドゥルカマーラですが、すぐにピンときて答えます。「それは私が製造しているのだよ。」

感激したネモリーノは、全財産を払ってその薬を購入します。

しかしその後のドゥルカマーラの独白で、彼がインチキの薬売りであり、薬はすべて偽物(しかもネモリーノに売った惚れ薬はワイン!)であることが発覚します。(勘の良い人なら、ドゥルカマーラが登場した時点で察したかも?)

・効果が表れるのは1日経ってから

・誰にも内緒にすること

この2つを念押しし、「明日にはすべての女性がお前に恋のため息をつくだろう」と言い残して去っていきます。

1日あれば村から逃げることができますし、そもそもネモリーノが誰にも薬のことを言わなければ、絶対にバレませんもんね。ドゥルカマーラ...用意周到な男です!

酔っ払いネモリーノ

さて、一人になったネモリーノは、さっそく薬を飲んでみます。

「美味しい!」

そりゃそうです。ワインですから...(安物ですけどね。)

ネモリーノはだんだん酔いが回ってきますが、そうとは気づかずに高揚感に身を任せ、陽気に歌を歌い始めます。

アディーナ、ツンデレなのでは?

そこへアディーナが登場し、陽気に歌うネモリーノを見て驚きます。

ネモリーノもアディーナに気がつきますが、明日には薬の効果が出ると信じているため、この場ではあえて興味のないフリを装います。

これにはアディーナもビックリ!

二人の意地の張り合いが続き、なんだか喧嘩のようになっていきます。

(アディーナがこの場面で機嫌が悪くなるのって...それもうネモリーノのこと好きなのでは...)

ベルコーレも再登場

そこにベルコーレも現れます。

アディーナはベルコーレを利用し、ネモリーノを懲らしめてやろうと企みます。

ベルコーレに「すぐにでも結婚できるかもね。」と持ちかけるのです。

ハラハラと見守るネモリーノですが、それが「6日以内には。」とのことだったので、明日にはアディーナの気持ちを手に入れられると信じているネモリーノは、余裕を取り戻し笑い転げます。...が!

緊急事態

そこへジャンネッタ(アディーナの友達)が飛び込んできます。

ベルコーレに伝令が届いたのです。

それは、「明日には出発するように。」という、大尉からの命令でした。

ネモリーノは喜びますが、なんとベルコーレは「だったら今日にでも結婚式をあげてしまおう。」とアディーナに提案します。

ネモリーノ大ピンチ!慌てふためくネモリーノに気がついたアディーナは、ネモリーノをさらに懲らしめるため、なんとベルコーレとの結婚を承諾してしまいます。

明日まで待ってもらうよう頼みこむネモリーノでしたが、当然取り合ってくれません。

ネモリーノは大慌てで、ドゥルカマーラに助けを求めに行くのでした...

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はい!ここまでが1幕です。

悲しいかな...このオペラの面白さ、素晴らしさは、やはり音楽によって最も発揮されるのだということを、この記事を書きながらつくづく感じました。

だから!皆様には!!劇場で見てほしい!!!

この記事では1幕しか触れていませんが、2幕も本当に楽しいのです。

後半部分もまた記事を書く予定です。お楽しみに!

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