悲しい時こそ悲劇を見よう

2018-08-24

こんにちは。

音大ナビ公式ライター、本多都です。

皆様はひどく落ち込んだこと、ありますか?

私の場合ですと、試験やオーディションに落ちてしまった時などは、落ち込んでしまうこともありますね。(そうはいっても切り替えも早いのですが。)

もちろん音楽業界に限らず、落ち込んでしまうことは誰しもあると思います。

そんな時、皆様はどうしますか?

美味しいものを食べたり

どこかへ遊びに行ったり

笑える映画やテレビを見たり...

といった感じでしょうか?どれも素晴らしいと思います。

しかし筆者は、これらの方法があまり効かないタイプの人間です。

落ち込んでいる時は、食べ物は味がしないし、遊びに行く気力なんて湧かないし、お笑いを見て一時的に笑えたとしても、その後に現実に引き戻されて、余計に辛くなってくる...そんなタイプの人間なのです。

(でもこれ、もしかしてわりと共感してくれる人いるのでは?)

とまあ、普段あまり落ち込まないがゆえに、私はいざ落ち込んでしまうと、その時の対処法がとっても下手くそだったわけです。

そんな筆者、何年か前にひどく落ち込んだ時がありました。

絶対に受かると思っていた試験に、まさかの落ちてしまったのです。

いやーもう、忘れもしないけど思い出したくもない!

結果を見た瞬間、頭は真っ白、全身は鉛のようで、とにかくフラフラしながら、なんとか帰宅したのでした。

その時は何もかもが嫌だったのですが、その時期にちょうど友人が出る舞台を見に行くことになっていまして、さすがにそれは見に行ったんですね。

そしたらその舞台の内容が、まー重くて!!!暗くて!!!

とにかく悲惨!!!!!

だけど見ているうちに、私の中で予期せぬ心境の変化がありました。

「この人たちに比べたら、私なんて全然マシじゃない...?」

ここにきて...

まさかの...

相対的ポジティブ!!!

終演後にその友人と食事に行ったのですが(餃子が非常に美味しいお店でした)、この話をしたらかなり笑われました。

でも本当に、舞台を見に行ってよかったと思ったのです!

つらい時に悲劇を見ることで、こんな効果があるとは予想外でした。

悲惨であればあるほど、その効果は大きいと思われます。

ということで、落ち込んだ時に取るおすすめの行動として、筆者は

「あえて悲劇を見る!」

を推奨していきたいと思います。

そしてまだまだ未熟ではありますが、筆者も声楽を勉強している身ですので、おすすめの悲劇オペラを3つ、ご紹介いたします。

(もちろん落ち込んでいない人もぜひ見てくださいね!どれも素晴らしいオペラですので!)

まずはこちら。

ドニゼッティ作曲
《ランメルモールのルチア》

このオペラでは、政略結婚によって引き裂かれた恋人たちの悲劇が描かれています。政略結婚が絡むとろくなことがありませんね。

兄の策略で、不本意ながらも結婚証明書に署名してしまうルチアと、それに激怒する恋人のエドガルド。

悲しみに耐えきれなくなったルチアは、婚約者を刺し殺し、正気を失います。

エドガルドとの結婚の幻想を延々と歌い上げるルチアの「狂乱の場」は、このオペラ最大の見せ場です。

https://www.youtube.com/watch?v=NYm7oJXVeks

(part3まであるので、長いですがよかったらぜひ見てください!!)

オペラの前半では、エドガルドとルチアによる愛の二重唱があるのですが、そこで使用されている旋律が、なんとこの狂乱の場面でもオーケストラで登場します。つ...つらい...

狂乱の場面だけでもかなりお腹いっぱいになれますが、この狂乱の場をより味わうためにも、最初からこのオペラを1本まるごと見ることをおすすめいたします。

血まみれで歌うルチアの狂気を見たら、自分の悩みなんてちっぽけなものに思えてくる...かも?

つづいてはこちら。

ヴェルディ作曲
《リゴレット》

宮廷のお抱え道化師であるリゴレットは、大切に育ててきた一人娘のジルダを、主人であるマントヴァ公爵に凌辱されてしまいます。そこで殺し屋を雇って復讐を果たそうとするのですが、公爵を愛してしまったジルダが、最後には身代わりとなって殺されてしまう...というストーリー。

あらすじ読むだけでしんどすぎません?

お父さんが復讐を決意したせいで、最終的に娘が死んでしまうんですよ?

間接的に自分が娘を殺したようなものじゃないですか!え...つら...

こんなつらさに比べたら、自分の悩みなんて全然ちっぽけじゃないか!!

ってなりません?

ちなみにこのオペラ、誰もが知っているあの歌が出てきます。

https://www.youtube.com/watch?v=wKoa3BHHbB8

最近だと、棋士の加藤一二三さんが某バラエティー番組で歌われてましたね。

こんなに明るい、華やかな歌が登場するにも関わらず、結末はズドーンと重たいものになっているのです。

緩急すごいな。

最後はこちら。

プッチーニ作曲
《蝶々夫人》

こちらは日本の長崎を舞台に、没落藩士令嬢の蝶々さんと、アメリカ海軍士官ピンカートンとの恋愛悲劇が描かれているオペラです。

ミュージカル「ミス・サイゴン」は、この蝶々夫人がベースとなっているのです。

蝶々さんが歌うアリア「ある晴れた日に」は、知っている人も多いのではないでしょうか。

最近だと、フィギュアスケートの浅田真央選手がショートプログラムで使用していましたね。

https://www.youtube.com/watch?v=YDuKbV0Ru7g

この曲、どういうシーンで歌われているか、皆様ご存じですか...?

蝶々さんと結婚した海軍士官のピンカートンは、任務を終えアメリカへ帰国し、そこでアメリカ人の女性と再婚してしまいます。ピンカートンの帰りを待つ蝶々さんは、夫に見捨てられたとも知らず、女中のスズキに向かって、「ある晴れた日に、海のかなたに船が現れ、あの人が帰ってくるのよ!」と歌う曲なのです...!

つらい...つらすぎる...

そういう背景をイメージして聞くと、この曲に対するイメージが変わってきませんか?

なんなら、この曲を歌うまでにどのような過程があったのか、オペラ全体を見てみたくなりませんか??

このアリアもそうですが、「蝶々夫人」って、観客はピンカートンの裏切りを劇中で先に知るのに、蝶々さんはそのことを知らないから、その時差がしんどいのですよ...

蝶々さんは真相を知らないがゆえに、すっごく明るい幸せな場面とかがあったりして、見ているだけで「やめて...彼は帰ってこないのに...そんなに喜ばないで...」となります。もうね、自分の悩みどころじゃなくなってしまうと思うんですよね。はい。(あくまで筆者の考えです。)

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悲惨さの種類や感じ方の違いはあれど、ネガティブな気持ちに相対的に勝てそうなオペラを3つご紹介させていただきました。

もちろんこの方法が、誰にでも効果があるとは思っておりません。

大事なのは、つらい時、悲しい時に、どうしたら少しでもそのつらさをやわらげることができるのか、前に進むことができるのか、自分に合った方法を見つけることだと思います。

その方法の一つとして、今回の記事が誰かの助けになれば幸いです。

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